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個別記事の管理2016-06-01 (Wed)
■野辺山から得たもの
翌日の野辺山も晴れだった。

後泊組の四人は、スッキリしていた顔をしていたと思う。
ゴールできたワイノさんやナカタさんも、出来なかった私やさかおRさんも、誰しも笑顔で、またどこかの大会で、と挨拶して別れた。

リタイア後は、少々バタバタした。
ナカタさんがゴール後救護室に運ばれ、幸いにして大事に至らなかったけれど、脱水だった。
後に大会レポを読んだら、同じように脱水で苦しんだ人が多かったようだ。
私も、最後のトリガーはリバースだったけれど、脱水だったのは間違いなく、去年よりも暑かったことが完走率を下げた要因だったのじゃないだろうか。


リタイア後、会場に戻ってきて、シューズのチップを返したら、ゴールのある方向から歓声が聞こえてきた。
あそこは、自分のいる場所じゃないところ。
近づきたくても近づけない。
これがリタイアなんだな。
初めて、そう思った。


帰宅しても、後悔らしい後悔はなかった。
ギリギリまで追い込んだと思っていたし、あそこで諦めなければ、医務室行きになったのは私だったかもしれない。むしろ、71キロの滝見の湯の関門ギリギリな状態から、よくもあそこまで持っていったものだという自負もあった。
多くの人が、滝見の湯エイドで諦める中、諦めなかった自分をほめてあげたいとも思う。

それでも、何かすっきりせずにレポを書き始めて……わかった。


やはり、悔しい。

どう言いつくろったとしても、私はゴールしなかった。
途中で諦めた。

後悔はない?
全力を出した?
追い込めるだけやった?

そんなのは言い訳だ。

結果が欲しかった。
チャレンジしたのは完走したかったからだ。
それが出来なかった以上、満足できていない。
満足したらダメだ。

だから、悔しい。


ウルトラマラソンは、諦めたら終わり。
諦めさえしなければ、ゴールが近づく。

これは、数少ない私のウルトラ経験から出てきた言葉だ。
それは事実だ。

今回の野辺山は諦めてしまった。
50キロで一度は投げ出してしまった。
あそこで復活を信じて進んでいたら、時間に余裕ができたはず。
93キロでリバースした。
レース中、リバースしたのは初めてで、パニクってしまった。でも、自分の状態をもう一度確認しても良かった。もう少し進んでから判断しても良かった。関門で引っかかるまで粘っても良かった。
そうせずに、自分から舞台を降りた。

復活があると信じること。
諦めないこと。
最後の最後、残り時間が1秒が0秒になるまで走り続ける。

私は、そんなランナーになりたい。


ウルトラの借りはウルトラでしか返せない。
野辺山の借りは野辺山で返す。

待ってろよ、野辺山。
来年、完走しちゃる。


(了)


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Theme : マラソン大会 * Genre : スポーツ * Category : 野辺山ウルトラ2016
* Comment : (21) |

* by し~やん
お疲れ様でした
ありがとうございました
野辺山での借りを返す
って気持ち、わかります
がんばれ~!

今後とも宜しくです・・・

* by ロボッチ
改めて野辺山お疲れ様でした☆

読んでて苦しさが伝わってきました…
野辺山恐ろしす…

わたし、来年チャレンジしたいけど、100ではありません(^_^;)
野辺山の100㎞は、ウルトラの最終目標にしようかと思ってて^^

来年、リベンジ達成したらぴさんのお祝いができるといいな♪

* by アンジー
お疲れ様でした。コースも気候も壮絶な戦いだったようで…。
来年の糧にしましょう!
リベンジ、頑張って下さい。

* by さかおR
素晴らしい内容でした。
ウルトラはあきらめなければゴールに近づく
そうなんですよね、わかっていても、最後のコース設定
、あの体が動かないが勝ってしまいました。(ノ_・。)
精神力の鍛錬も重要な要素ですね。
私も来年野辺山エントリーします。

* by ken
らぴさん 野辺山お疲れ様でした。
マラソン越えの距離のレースは練習が必須ですね。

本番しっかり走れるように、練習の必要性を
改めて思いました。練習では何回も失敗して
いいけど、本番は快走したいですね。
次のチャレンジ 頑張ってください!

* by えーかわ
すごくいい、レポシリーズだったと思います。

走らないけど、万一間違って私が野辺山出る時には42kmからにしようと思いました。

* by ねむねむ
レポから壮絶な戦いの様子が感じられました。
93キロで止めたというらぴさんの判断は正解だったと思います。
走り続けてたら、後の生活に響くくらいのダメージを受けてたと思いますよ。
でも・・・正しいかどうかじゃなくて、やっぱり悔しいですよね。

来年のリベンジ、応援しています。

* by PP
ワタシも一緒になってレースに出ているような気持ちで読ませていただいてました。らぴさんの「想い」が伝わってきて、ワタシまで悔しい気持ちになっちゃいました。素晴らしいレポをありがとうございます。来年の完走レポを読むため、今からハンカチ用意しときます。

* by KIKU
はじめまして、KIKUと申します。
野辺山レポ、全て読ませて頂きました。
自分も同じレースを走っていて、辛さを思い出しました。
自分もリバースしたレースは初めてでした。
京丹後の10倍苦しかったです。

あと少し届かなかった悔しさが伝わって来ます。
早々にリベンジを表明されているのが凄いです。
必ず果たして下さい。

Re: * by -
> し〜やんさん

ありがとうございます。
今回の野辺山は苦い結果に終わってしまいましたが、また次があると思って、練習して行きたいと思います。
し〜やんさんの走りにあやかりたいものです。

個別記事の管理2016-05-31 (Tue)
■リタイア
エイドに駆け寄って、水をもらう……が、気持ち悪い。
かろうじて、一口二口飲むけれど、お腹が気持ち悪すぎる。
机に手をついて下を向いて、それでも何か食べなければと思う。

エイドのボランティアの学生さんに、ありがとうと言って、うどんの器をもらう。
食べたくない……
無理やり2本ほど飲み込むけれど、それ以上はムリ。
ごめんなさいと言って、残りを捨てて諦める。

最後にかぶり水だけもらって、エイドを出る。
出がけに小学生三人がどこから来たんですかー?と声をかけてくれ、なごや―と大声で応えると頑張ってくださいと応援をくれる。

それを支えに進む。
残りの道は、前日に下見をしたからコースは分かっている。
残り10キロから、また上りが始まる。そこまでは平たん。でも、これが長いことも知っている。
もうずっと走ることが出来ない。歩きを交えながらも、キロ7分をギリギリ切るペースを維持する。息は上がっているし暑い。でも、ロクに汗が出ていない気がする。
明らかに脱水の状態。でも、どうにもならない。
ヘトヘトにながらも、頭の中は先に進むことだけ、残り何キロなのか、計算できなくなっている。

コースが左に折れる。
ああ、ようやくここまで来た。
ここから最後の上り。
知らなければ、ここからの風景で心が折れるというポイント。
分かっているから大丈夫……大丈夫、上れるよ……
頑張って、90キロのポイントを通過。
が、そこまで。

やはり、この坂は走れない。
分かっていたけど、キツイ。
あっさりと、キロ10分を越える。
残り1時間15分で10キロ。
この坂は1キロはあったから、9キロをキロ7分を切らないとダメか。
いや、まだだ。まだやれる。

必死に脚を動かして、脚に力を入れて上り切る。
平坦な道になって心底ほっとする。
でも、走り出そうとして、そのエネルギーがないことに気付いた。
前に走り出すも、数歩しか進めない。
もう一度繰り返しても、同じ。力が入らない。
ハンガーノック?

手元の補給食は、ワンセコンドはとうに飲んでしまっていて、残っているのは羊羹くらい。羊羹が食べれるなら、先のエイドでうどんを食べている。
残り20キロから飛ばしに飛ばしてきた。
普通なら走れる距離が、ここにきてついに止まってしまった。
時間とペースにじりじりしながら、一縷の望みでエイドを目指す。
エイドに何かあるかもしれない。

ようやく見えてきたテントに入って水をもらう。
何かないかと見渡しても、エネルギーになりそうなものがない。
梅干しなら何とかなるんじゃないかと、口にした。

が……

一気に気持ち悪さが出てきて、エイドの裏に回る。
そして、リバース。

二度吐いて、吐しゃ物を見て、悟った。


このまま走ることは出来ない。
歩くことなら出来るかもしれない。
でも、この先にも緩やかな坂があり、キロ15分の可能性も高い。

もう、走れない。
もう、間に合わない。
ゴールできない。


大丈夫ですか?と声をかけてくれたボランティアの方に

「リタイアします」

と、告げた。


93キロ。
13時間15分だった。


(あと1回だけ続く)


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* Comment : (2) |

野辺山お疲れ様でした! * by ハマー
ブログ読みながら、毎回応援してました。

結果は知ってましたが、なんかグッとくるもんがありました。
上手いこと表現出来ませんが

お疲れ様でした!

Re: 野辺山お疲れ様でした! * by らぴ
> ハマーさん

コメントありがとうございます。
今回のレポは、出来るだけ自分の気持ちに忠実に書いたつもり。
思うところは今でも複雑です。

個別記事の管理2016-05-30 (Mon)
■馬越峠
滝見の湯エイドを出れば、すぐに馬越峠に入るものと思い込んでいたけれど、実際にはエイドからもう少し先になっていて、そこまでは割と平坦か傾斜の緩い坂だった。
お腹の気持ち悪さはあったものの、それでも関門時間がちらついていたから、ベタ歩きではなく、ちょっとでも走ろうと数メートル単位で走ってを繰り返していた。
わずか3キロほどで、次のエイドで到着。
ここから山の中みたいで、急坂がすでに見えている。

ここで女性ランナーさんが、どのくらいの距離と傾斜なのか聞いている。
「箱根の峠くらい?」
「5キロで400メートル上がるよ。箱根より急だけど、そんなことは考えずに行って」
いや、だったら教えてくれなくてもいいんだけど(笑)

エイドで水被りをしてから、エイドを出る。
最初は、できるだけ走ろうと、いつもの数メートル進んで、歩いてを繰り返そうと思っていたのだけど、あっさり諦め。元気な時に、これだけクリアすればいいという状態なら走れるかもしれない。でも、ここにきては走れない。

それでも、出来るだけ早足を心がけて、パワーウォークで進む。
当然、呼吸は荒くなるし、汗が猛烈に出る。
前を行く数少ないランナー(滝見の湯からは、周りのランナーがめっきり減った)の背中を見据えて、追いつき追い越すことを考えて進む。



後で記録を見たら、ずいぶんと頑張っていたみたいでキロ10分前後で上っている。



ぽつんぽつんとある距離の看板を見ながら、これは長いとぼやきながら歩く。
聞こえるのはウグイスとカッコーの鳥の声と、なぜか蝉の声。この暑さのせいか、勘違いした蝉が多いみたいだ。

大分進んだところで、写真を撮る。



こんなにヘトヘトでも、美しいと思う。
綺麗だと思える自分に驚きもする。
何も無ければしばらく見入ってみたいところだ。
でも、ともかく先に急ぐが……さすがに疲れてきてしまった。
ダラダラと歩いて歩いて、ようやくエイドに到着。
16時25分。関門閉鎖15分前だった。

■再びの復活
ここからは急下り。
5キロあまりで、今まで上ってきた距離を下る。
歩いてばかりで走れないのかもと心配していたけれど、足は反応してくれた。
お腹の調子も収まっている。
大丈夫、走れる。
下りにの傾斜に任せたまま、スピードを上げて行く。

働かない頭で、残り時間を計算する。
80キロで16時半だから、残り時間は20キロで2時間半。180分を20キロで割ると……
あー、わからんがな!
もう少しシンプルに。キロ7分で20キロなら140分。8分で160分。
もしかして、ゴールできちゃう?
ほんとに?

ここで必要なのは、下りで稼ぐこと。
ここまできたら、足を温存しても仕方ない。
あとは勢いで行くしかない。

頭の中で明確な目標が出来たとたん、自分の中が戦闘モードに切り替わる。
ウルトラなのにフルマラソンを走っている時のような心境。
前行くランナーを次々とパスして、下り坂を下る。



それでも、写真を撮っていたあたり、まだ自分の中に余裕はあったのかな?
が、この快調は少しだけ。
調子が良くなってきたら、お腹も調子が良くなったのか、トイレに行きたい!
ちょ、ちょっとやばいよー
エイドまだかー?
別の意味で必死になって下ってエイドが見えて、トイレがあったことにホッとしたw
自分比最速で、トイレを済ませ、もう一度下る。

しかし、下界に下りてきて傾斜が緩やかになり、ペースも落ちる。
ここまでか。息が続けられるくらいまで落として、キロ7分切れるくらい。やはり、坂だけのキロ5だったか。

どのくらい稼いだか、時計を見ながら確認する。
残り2時間で15キロ。キロ8で2時間。
下見したときに確認した90キロに坂があることを考えると、余裕はない。
出来るだけ早くと、走りと歩きを交えながら、エイドはまだかと思いながら進む。

そしてついに、下見で見たエイド到着。



17時21分。原公民館エイド。87キロ。
残り13キロで残り1時間40分。
間に合うのか? 気ばかりが焦っていた。


(続く)


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個別記事の管理2016-05-29 (Sun)
■再びの不調…
スライド区間が終わり、左に折れて再び上り坂。
それでも今度は歩くことなく走る。
なるべく長く、なるべく早く。
あれだけ気持ちが悪かったお腹も、今はそれほどでもない。
むしろお腹に意識していた方が楽に走れる。

エイドを見つけても、休みは最小限。
ドリンクの水だけもらって、被り水をしてまた進む。
すると、隣を走るランナーさんが次の関門が何時かを人に聞いている。
わかりますよと声をかけ、久しぶりにペース表を取り出してみる。

「71kmが15時15分、その先の馬越峠が16時40分ですね」
この時が13時45分くらい。71kmの関門の滝見の湯まで7キロくらい。
「それなら間に合うな。その先が16時40分? 間に合うかな?」
改めて言われてそうなの?って思う。
でも、よく考えると7キロで1時間半は十分間に合う。
その先は……どうなんだ?
暑くて頭がもうろうとしていて、計算ができない。

サングラスをしていても帽子を被っていても、容赦なく日差しが照りつけて、それが辛くてなるべく日影を走る。
じわじわとした暑さと上りに耐えながら、30分あまり。68km地点のエイドに到着。



人がまばらで、エイドに来るランナーの数が少ない。
その少ない人の中で、見慣れた被り物の人発見。
だれやねんさん! お互いになんでこんなところにーと言い合う(笑)
暑さでバテているようで、もう少し休んでから行くと言うので先に進ませてもらう。

ところが、上り坂の勾配がきつくなり、続けて走るのが辛くなってくる。
それだけじゃなく、またしてもお腹が気持ち悪くなる……
またか……

ガマンしながら、また歩きながら進む。
71キロのエイドまで、まだ3キロくらいはあるのか。
ボトルポーチのドリンクをあおりながら歩いていると、だれやねんさんが追いついてきた。
これまでのことを簡単に説明して「この先は?」と言われ「……迷ってます」

そう、迷っていた。


■リタイアか?進むのか?
正直、足が重たい。それだけじゃなく、お腹の調子も悪くなり、また走れない状態。
この先進んでも、必ず関門時間につかまるだろう。
この71キロエイドなら、温泉もある。
リタイアして、温泉につかれたら最高だろう。



70キロも越えた。70キロ走れば十分じゃないのか? 野辺山挑戦は、ここまででいいんじゃないのか?
迷いながら歩いて、71キロのエイド、滝見の湯が見えてきた。
なんだか賑やかだ。



そうか、71キロ部門のゴールだからか。
目の前を71キロの選手がゴールしていく、華やかで羨ましい。

時間は、かろうじて15時10分前。
関門時間には、20分くらいは余裕があるけれど……

エイドに入っても迷う。
目の前にリタイア受付があった。でも、足がそっちに向けられない。
とりあえず、ドリンクもらってひと息ついて……
今の自分の状態を確認を再確認……

あかんね……
諦めよう。
左手のGPSウォッチを見て止める。

「どうする?」とだれやねんさんに問われて…
この期におよんで迷う。
ここでリタイアするのは簡単だ。
でも、ここでリタイアしたら、野辺山最大の頂である馬越峠を諦めることになる。
馬越峠を走らずして、野辺山走ったと言えるの?
走りたくないの……?

「……いや、行きます」
「そっか」
だれやねんさんが、ちょっと目をそらした。
「わたしは、ここまで。リタイア」

私の目からは、まだ余力があるように見えたけど、だれやねんさんの経験から諦めるからには、相応の理由があるのだろう。

先に進むと決めたからには、時間は無駄にできない。
じゃあと、だれやねんさんに挨拶をして荷物を受け取りに行く。
途中、ファインテンのコーナーで筋肉の固さが取れる魔法のジェルを宣伝していたので、藁をすがる思いで、脚にすり込む。

荷物受けで荷物をもらって、補給食と経口補水液の入替と、入れておいたおにぎりをつかむ。そしてトイレに寄ってから再スタート。時計が止まっているのに気付いて再始動させる。
エイド出発の時間は、15時5分くらいだったと思う。
時計を止めたせいで正確な時間が分からなくなってしまった。おまけに迷った時間がもったいなかった。でも、覚悟が足りなかったのだから仕方ない。
おにぎりを無理やり経口補水液で飲み込み、歩きとちょっとだけの走りで峠の入口を目指す。

馬越峠を越える。
それだけを決意していた。


(続く)


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個別記事の管理2016-05-28 (Sat)
■やさしいおじさん
今ならば、なぜここまで落ち込んで、諦めてしまっていたのかと思う。
もう走れないという思いが、とにかく強くて、ただ歩いていた。

もう次のエイドでリタイアしよう……
そう思って、嫁にLINEで連絡を入れる。
さらにしばらく歩くと、反対側の道路に60キロの計測地点がある。
もう、自分はあそこに行くことはないんだなと漠然と思う。

その間にも、まだランナーが追い抜いて行く。
よく走るなぁと思う。今から走って間に合わないだろうに…
私の計算では、30分遅れまでは許容できるけれど、それ以上は残り20キロが間に合わない。もう歩き始めて1時間くらいにもなるから遅れは30分で済まない。

……ん? そう思い込んでいたけど、本当に間に合わないの?
間に合わないなら、なんでみんな走ってるの…?

関門時間を確認するのがイヤで、手元のペース表を見ていなかったけれど、これだけのランナーが走っているということは、まだ間に合うんじゃないのか?

そう思って、ちょっとだけ走ってみる。
あれ、なんか走れるかも? あ、でも動いたらトイレに行きたい。ぎゅーっとガマンしなきゃ、やばそうな気配。これはトイレに行かなきゃ、走れない。

そう思っていたら、目の前にガソリンスタンド。ちょうど、ガソリンスタンドのトイレから女性ランナーが出てきた。
スタンドのおじさんにトイレを借りていいか聞くと、快く貸してくれる。
スッキリして出てくると、信州の水はおいしいよと水飲み場で水を勧めてくれる。

改めてゴクゴクと飲んで、顔を洗う。
ありがとうと言うと、頑張ってと応援してくれる。
そのにこやかさに、自然と顔がほころんだ。

何だか気持ちが楽になっていた。
ガソリンスタンドを出たあとも、上りが続いてすぐには走れないけれど、目の前がスッキリした。
すると、見えていないものが見えてくる。

そうか、もうすぐ折り返しだ。折り返せば下り坂になる。
もしかして、下りなら走れるんじゃないの?
ずっと走らなくてもいい。ウルトラ走りでもいい。
走れれば、先に進める。
エイドでリタイアと思っていたけど、リタイアするなら、試してみてからでも遅くない。

急に目の前が晴れたような気がした。
さっきまでの暗い思考が嘘のようだ。
コインが裏から表に変わったかのように、目の前がくっきりしている。
早く、早く折り返したい!


■ウルトラに復活はある
横断歩道を渡り、反対側からエイドのある広場に下りる。
広場の左奥には、リタイア受付があり、テントのブルーシートにはたくさんのランナーがいた。みんな下を向いたり横になったり、座っている人もうつろそうな目をしている。

ほんの10分前なら、自分も躊躇なくあそこにいただろう。
でも、今は全くそんなこと考えられない。早く先に進みたい。
ずっと持っていたおにぎりは、申し訳ないけどそこでゴミに捨てた。

エイドにあったオレンジとぶどうをもらって、来た道を戻る。
戻る時に携帯を取り出したら、嫁からLINEがきていた。



ホイミ!
うん、ホイミだ。
そして、走り始める。

最初は20m。足が重たい。
でも、それを我慢して走る。
そこから、次の電柱まで。
足が重たくなっても、息が上がってきても、走る。
徐々に走る距離を延ばす。

歩いていたとはいえ、長いこと走らなければ足も固まる。
それをゆっくりと、でも確実に走るうちに、リズムが出てくる。
ちょうど数十メートル先を女性が走っている。
失礼ながら、目標とさせていただく。

走れるようになったといっても、キロ7分を超えている。
それでも、歩いている時よりも、ずっと早い。
あっという間に60キロのエイド。



歩いていた時は、あんなに遠いと思ったのに、走れたらこんなに近かったなんて。

もう走るのに不安はない。
完全に復活した。

ウルトラに復活はある。
野辺山最初の復活だった。

(続く)


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